薬師如来の脇侍として仕えるのは、日光菩薩と月光菩薩です。
今回は、日光菩薩と対になる月光菩薩を切り絵で表現します。
日光菩薩は先に制作が終わっているので、そのイメージに沿って下絵を描きました。

月光菩薩といえば、月の光を象徴する仏です。
神秘的で優しい輝きで闇を照らし、慈しみの心で煩悩を消すと伝えられています。
私は月光菩薩に対して、より親しみやすく、かつ神秘的な雰囲気を損なわないように気をつけて、少女っぽい姿で切り絵の下絵を描きました。

そして、今回の日光菩薩も月光菩薩も想定としては、薬師如来に仕えて間もない、まだまだ幼さの残る菩薩であり、これから修行の旅にでるという物語を考えていました。

最初に顔の表情に気を配りながら、紙を切り始めます。
菩薩らしい尊厳さを感じられるように、目や口元には特に丁寧に切っていきます。
コンマ何ミリでもナイフがずれてしまうと、全く違ったイメージになってしまうので緊張します。

月光菩薩の制作

月光菩薩の制作

顔の周りや髪を切っていくと、だんだん存在感が増していきます。
頭の飾りを切っていくと尊厳さが出てきました。

月光菩薩の制作

頭部がほぼ仕上がったら、少しずつ体を切り抜いていきます。
装飾品の質感と、指など肌の質感を意識しながらナイフを走らせるのですが、細かい部分が多くて、気が遠くなります。
少し作業をすると、目がショボショボして眠くなるのが悩みです。

月光菩薩の制作

胸や腕の装飾を切り終えると、細かい部分から開放されて、ちょっとだけ気分的に楽になります。
下半身は、衣を柔らかい雰囲気を意識しながら紙を切ります。
下描きには、均一の太さの線で描いているのですが、ナイフを入れるときに線に強弱が出るように、指先で微妙に太さをコントロールしながら切っていきます。

月光菩薩の制作
菩薩の背景には、雲海に浮かぶ月をデザインしました。
モコフワした雲海を表現するために、ナイフを左右に細かく揺らして紙を切っています。
雲海に浮かぶ睡蓮の演出は、阿弥陀来迎図などでよく見られる描き方を踏襲しました。

月光菩薩の制作

月光菩薩の制作

中身が切り上がったら、外周の輪郭を切っていきます。
一度に切り離すと、どこかでちぎれてしまうので、少しずつ切り離しながら進めます。
そして、全て切り離して手で持ち上げて、仕上がりを確認します。
何度もこれは自分でも感動する瞬間です。

月光菩薩の制作

平面の紙だけど、立体的に俯瞰して、完成した切り絵をじっくりと味わいます。
完成後は、一晩置いて、後日改めて切り忘れや、切り屑が付着していないか、よく確認をしてから額装です。

月光菩薩の制作

 

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