ドガのように有名な画家や江戸の歌舞伎俳優や花魁を描いた浮世絵師たちは、人物の描写力を鍛えるために舞台に通って、踊り子や演者たちをよく描いたものだ。
現代では映像も写真もネットを通じて、どこからでもなんでもスケッチの題材になるような写真や映像を閲覧することができる。
だからわざわざ舞台を見る必要は無いと思うかもしれない。

しかし、写真や映像も所詮二次元のトレースになってしまい、3次元的な空気感を五感で捉えることはできない。
ましてや人物の表情は、瞬間的に変化するから、その変化するさまは本物の生身の人間を間近に見ないと不可能だ。

久代梨奈

プロの演者が舞う舞台観覧が観察力を鍛える

私はアイドルの舞台や、小劇団の舞台を生で観覧するのが好きだ。
表情の変化や人体の動きを学ぶには、ちょうどいいのだ。
ただし、どこでもいいというわけではない。
大きな舞台ではなく、小劇場が望ましい。そのほうがより近く見ることができるから。
そして、アマチュアのようなプロではなく、本物のプロの舞台をみることだ。

例えば国民的アイドルのAKB48と地下アイドルは、同じようにお金を儲け、パフォーマンスを売るプロではあるが、地下アイドルはどちらかといえばアルバイトや仕事をしながら活動をしているアマチュア的なプロである。
そのためパフォーマンスへの取り組みには、甘さがでてしまう。表情の作り方、表現力、
ところがAKB48グループのメンバーは、日本を代表するスタッフにこてんぱんにしごかれ、かなり厳しい競争の中に身を置いているプロ中のプロである。
この差はとても大きく、感性を磨き、描写力を身に着けたいなら、こちらの本物のプロの舞台を見ることをすすめる。

舞台観覧で行う脳内スケッチが表現力を養う

2018年11月7日の水曜日に難波にあるNMB48劇場に行ってきた。
特に注目しているメンバーは、壱劇屋という劇団の舞台で主役を務めるなど活躍している久代梨奈さんだ。テレビドラマなどで活躍している城恵理子さんというメンバーもいるが、表情の振り幅が大きいのは久代梨奈さんだろう。

特に壱劇屋の舞台を2つ経験し、また別の舞台にも出演するなどして、舞台映えする存在であることは間違いない。

今回は久しぶりに生で久代梨奈さんを見ることができたのだが、本当に様々な表情を追うことができた。
最近特に女性らしい妖艶な色っぽさが出てきつつあり、それに加えてキリリと引き締まった鋭い目つきや、あどけない可愛い少女の表情も見せてくれた。
そんな表情の変化を頭の中でスケッチするのが、これがまた楽しいのだ。

今まではどちらかといえば可愛らしくPOPな楽曲を担当していたが、今回の公演ではじめて「恋愛禁止条例」というちょっと大人っぽい女性を表現した楽曲に挑戦したが、これが見事に今の久代梨奈さんの雰囲気にマッチしていって良かった。

専用劇場で見る16人のメンバーはそれぞれ魅力的で、個性が光るが、楽曲ごとに一人のメンバーのみを追いかける見方も面白い。
それこそ表情の変化を学べる上に、前に後ろに左右にと立ち位置によって変化する身体の動きも本人がどのように表現したいのかを推察する楽しさがある。

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