孔雀が毒草や毒虫を食べるように、人間の三毒を呑食し、衆生の業障罪悪、諸病痛を除くことを本願とするのが孔雀明王です。
「明王」というとお不動様のように憤怒の表情を浮かべている像が多いのですが、孔雀明王は慈悲相という穏やかな表情をしています。
この世と衆生を穏やかに見守っているようなイメージで、目や口元に意識を集中して切り始めます。

孔雀明王像の制作

孔雀明王といえば、孔雀の上に座っている像が普通ですが、私の創造する像は、孔雀の化身というか、孔雀と一体化した仏のイメージです。
ヒンズー教では毒蛇を食う孔雀を神格化した存在なので、この私の解釈も外れてはいないと思います。
そして頭部には、羽を付けました。

孔雀明王像の制作

頭部から肩、胸へと、紙を切り進めています。
細かい細工の部分が続くと、集中力が途切れがちになるので、時間を区切って小休止をしながら効率よく制作を進めます。

孔雀明王像の制作

肩から胸、腕にかけて羽を一枚一枚切っていきます。
下描きでは、均一の太さの線でまっすぐに描いていましたが、そのまま切り絵にすると羽が金属の板のように硬い印象になってしまいます。
柔らかい羽の印象を演出するために、刃先を微妙に揺らしながら波線で強弱をつけて切ります。
これが素直に切るよりも、数倍時間がかかって指が疲れます。

孔雀明王像の制作

孔雀明王像の制作

右腕の部分です。
孔雀明王の腕は、全部で4本あります。これを一面四臂といいます。

孔雀明王像の制作

光背には、孔雀の尾びれが開いたおなじみの模様をデザインしました。
この孔雀尾も直線的に硬い印象にならないように、ナイフの刃をゆらゆらと揺らしながら波型に切っています。

孔雀明王像の制作

腹部から下半身は、枝を広げた樹木になっています。
孔雀は森の高い木の上で寝たり、自然の中で生息していることから、樹木の神様という意味合いも持たせました。
この部分も細かくて、なかなか制作が進みません。米粒より小さい数ミリの細かい切り屑ばかり、机の上にたまります。

孔雀明王像の制作

孔雀明王像の制作

光背の光線部分は、まっすぐ直線的に切ります。ただし、定規は使いません。
フリーハンドで頭の中に直線をイメージして、紙を切ります。
光線を切りながら、外周の余分な紙を切り離していきます。
徐々に形が浮かび上がり、存在感が増してきました。

孔雀明王像の制作

切り上がりました。
細かいので手に持つとき、とても緊張します。
切り絵を傷つけないように、ゆっくりと下絵の紙を剥がして、表面に引っかかったり残っている細かい切り屑を取って、いよいよ完成です。

孔雀明王像の制作

孔雀明王像の制作

 

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