2018年の初秋、京都市にある相国寺承天閣美術館で行われていた「サンタフェ リー・ダークスコレクション 浮世絵最強列伝~江戸の名品勢ぞろい~」という展覧会に行ってきた。
この展示内容は、浮世絵の誕生から隆盛期に至るまでの作品が集められていた。

浮世絵の祖・菱川師宣、美人画の喜多川歌麿、役者絵の東洲斎写楽、そして葛飾北斎や歌川広重など代表的な浮世絵師の優品のみを集められており、これを見れば浮世絵から錦絵に至る名作を一度に見ることができる。
これまでバラバラに紹介されていたものを、絵画の変遷を追って見ることができるので、時代ごとの絵師たちが何を描き、どこに視点を置き、技法を磨いてきたのか? 歴史の中で絵の流行も含めて知ることができる。

浮世絵最強列伝

素朴で大胆な画風に気づくこと

北斎や歌川派の後期の洗練された錦絵も良いが、江戸時代の浮世絵が誕生した頃の作品もとても魅力的だ。

洗練されすぎない大胆な画風が、場面の迫力を際立たせている。これを稚拙と見てしまうのはあまりに見る側の感性が貧しいといえる。

また浮世絵は、絵画と違って今で言う広告的な見せ方が多分に加味された絵である。つまり見る側に何を伝えたいのか、どこを見せたいのか?が明確に表現されている。
これは単にアートというより、広告デザイン的な価値がとても重視されている。

個性的なアートの価値と広告デザインの価値が融合した芸術・・・現代の切り絵にも通じる価値観だと思った。

絵師たちの足跡をたどり、自己の画風を顧みる

写楽の活動期間が1年も満たなかったというのは驚きだが、彼の描く人物の画風は、それまでの浮世絵にはないリアルな演出や空気感があり、それが人々に強烈なインパクトを残したのかもしれない。

歌川広重の絵は風景写真のよう。そこにある風土や民の生活様式をありのままに写しとっている。簡略化された写実絵画という感じ。

葛飾北斎の絵は、劇場の舞台を観ているような錯覚を覚えることが多々ある。会話が聞こえてきそうな人物や、風の音さえも聞こえてきそうな風景の描き方は見事としか言うほかはない。
私はどちらかといえば、北斎のような劇場型の絵を極めてみたい。

観光名所の風景や建造物の切り絵を見ることもあるが、私にはどうしても馴染めず、いや、自分なりにどう描けば良いのか?全くイメージができなくて悩んでいた。
答えが出ないまま名所の風景を描けずにいたのだが、今回の展示を見て、大きく門戸が開いたような気がした。

名所画+神仏画を描くと思えば、名所の風景画も描きやすい。写真にはできない絵ができるのではないか?
今はどんどん各地の名所をテーマにしたイメージが湧き上がってきている。
近い内に形にしたいと思う。

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